税法その他 実戦篇

宅地建物の統計の過去問アーカイブス 平成5年・問34

本問題は,平成20年受験用にデータをアップデートしています。


宅地建物の統計等に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成5年・問34)

1.「平成14年6月公表の土地白書によれば,三大都市圏の住宅地の地価は,昭和49年を100とする指数で,最近では名目GDPを上回っている。」
★復元困難のため,演習する必要はありません。

2.「建築着工統計によれば,平成19年の新設住宅着工戸数は,分譲住宅・貸家・持家がc増加したものの,全体としては平成18年を下回った。」

3.「法人企業統計(財務省)によれば,平成18年度の不動産業は,売上高経常利益率で引き続きプラスになったが,借入金負担率では引き続き高水準となった。」

4.「住生活基本法の制定により,住宅5箇年計画は廃止されたため,肢4を演習する必要はありません。住生活基本計画(全国計画)は決定されていますが,住宅5箇年計画とは性格が異なります。」

【正解】肢1,肢4は復元困難のため,演習する必要はありません。

× × ×

1.「平成14年6月公表の土地白書によれば,三大都市圏の住宅地の地価は,昭和49年を100とする指数で,最近では名目GDPを上回っている。」

★復元困難のため,演習する必要はありません。

【正解:×

指数での比較−名目GDP」と「三大都市圏の住宅地の地価」

 『昭和49年時点を100とする指数』というのは,その年の数値が昭和49年の数値の何%になるかを意味しています。

 例えば,名目GDPの指数が 436.6 というのは,その時点での名目GDPの数値昭和49年時点の名目GDPの436.6%になっていることを示しています。(単純にいえば,4.366倍ということ。)

 指数を使うと具体的な数値を出さなくても,昭和49年の数値の何倍になっているかが瞬間的にわかるので,統計では指数を使った比較がよく用いられています。

 平成14年版・土地白書p.230 図表58 公示地価と名目国内総生産の推移(このページの一番下にあります。)

まず上の青字の部分をクリックして,図表58のグラフで次の二つの線を探してください。

 このグラフで赤いでつながれている線(右端で436.6で終わっている線)が名目GDPの指数の推移です。

 黒の*でつながれている線(ピークで400.0(100.0)になっている線)が三大都市圏の住宅地の地価の指数の推移です。(三大都市圏の住宅地)

 グラフの右端(最近)ではどちらが上にあるでしょうか。平成13年時点で比べると,黒の*でつながれている線(三大都市圏の住宅地の地価)は赤いでつながれている線(名目GDP)よりも下にあるのがわかりますね。

 名目GDPの指数=436.6 三大都市圏の住宅地の地価の指数=191.5

 つまり,『三大都市圏の住宅地の地価名目GDPよりも上にある』といっている本肢は×だということです。

本肢は『昭和49年時点を100とする指数』で三大都市圏の住宅地の地価名目GDPを比べていますが,どの時点を基準とするかによって,グラフの曲線の様相は変わってきます。

 http://wwwwp.mlit.go.jp/hakusyo/book/npbb200201/npbb200201_2_003.html

図表1-1-4 六大都市市街地価格及び名目GDPの推移(S30を100とした場合)
図表1-1-3六大都市市街地価格,名目GDP及び消費者物価の推移(S46を100とした場合)

 名目GNPの増加と公示地価の変動を扱ったグラフでは下の参考問題で『昭和58年時点を100とする指数』で見たものがあります。

土地白書(平成15年版ではp.231)でも同種のグラフが掲載されています。〔図表66 市街地価格指数と名目国内総生産の推移 昭和30年=100〕しかし,平成17年版の土地白書では掲載されていません。

この問題は,平成13年問48肢4とは問題の趣旨が異なることに注意してください。
名目GDPの動向と公示地価の動向が一致しているかどうかを出題者は尋ねているわけではありません

●解説のための参考問題
平成5年3月の地価公示によれば,三大都市圏の住宅地の地価は大幅な下落を示し,昭和58年を100とする指数で,名目GDPを下回った。(平成5年・改)
【正解:×

 本設問は,平成5年出題の問題文を現在のWEB上で説明するために,作問したものです。まず,平成13年版・土地白書の図表28 公示地価と名目国内総生産の推移のグラフをご覧ください。(←青字の部分をクリックしてください。)

 このグラフで黒い▲でつながれている線(平成3年のピークで262.0になっているもの)三大都市圏の住宅地の地価の推移を示しています。(昭和58年を100とする指数)

また,*でつながれている線(右端で187.0で終わっている線)名目GDPの推移です。(昭和58年を100とする指数)

 平成5年の時点で(グラフの真中あたり),この二つの線のうち,どちらが上にありますか?

 平成5年では▲でつながれている線(三大都市圏の住宅地の地価)*でつながれている線(名目GDP)よりも上にありますね。ポイントはここなのです。出題者が受験者に問うていたはこのことでした。〔平成5年の地価公示では,東京圏の住宅地の地価は,実際,大幅に下落しており(14.6%),このことについては正しい記述でした。〕

 本設問は,『三大都市圏の住宅地の地価名目GDPよりも下回った』と言っているので×になるのです。実際は,平成5年の時点では,三大都市圏の住宅地の地価名目GDPよりも上にありました。

●平成5年版の建設白書と土地白書

 建設白書・平成5年版では,地価公示のページに「昭和58年=100とした地価変動率の累積値が,平成5年時点で,東京圏では194.2,大阪圏では189.3,名古屋圏では165.6」である旨の記述があります。

 土地白書・平成5年版では,公示地価の累積変動率について,以下のページで記載。「(東京圏の住宅地の公示地価は)昭和58年=100とした指数で,平成3年には250であったものが平成5年に194になっている」(p.105),「昭和58年=100としたときの東京圏・大阪圏の昭和59年〜平成5年の推移」(p.94-p.95)

 これらを踏まえて平成5年に出題されたと考えられます。〔平成5年の出題では,昭和58年=100としたときの名目GNPと東京圏の地価の指数の比較でしたが,土地白書の巻末には,名目GNPの推移表が掲載されていました。〕

 また,これと同じことが平成13年問48肢4でも起きた蓋然性は高いと思われます。具体的には,出題者が図表28 公示地価と名目国内総生産の推移のグラフを見て,『名目GDPを実質GDPに置き換えて指数を使わないで“動向”を尋ねた』と仮定すれば,納得ができるからです。『タダの偶然の一致』と言えば,それまでですが。

地価変動率の累積値 (昭和58年の数値の何%になっているかを示す。指数のことを言う。)

2.「建築着工統計によれば,平成19年の新設住宅着工戸数は,分譲住宅・貸家・持家がc増加したものの,全体としては平成18年を下回った。」

【正解:×

◆新設住宅着工戸数−利用関係別の着工戸数

 『全体としては平成18年を下回った』は正しいのですが,『分譲住宅・貸家・持家が増加した』というのがアウト!!

 貸家・分譲住宅・持家は減少しています。〔増加したのは,給与住宅です。〕

利用関係別の着工戸数 (単位 : 千戸)

年→ 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
持家 431 475 452 387 368 373 370 353 359 315
分譲住宅 293 303 345 339 324 327 346 369 379 295
持家系合計 724 778 797 726 692 699 716 722 738 610
貸家系合計 474 437 433 448 459 461 474 514 553 451
貸家 457 424 421 438 450 452 465 504 543 442
給与住宅  17  13  12  9.7 9 9.2 8.7 9.5 9.2 9.4

原題では,年度集計のものでしたが,年間集計のものに修正しました。

3.「法人企業統計(財務省)によれば,平成18年度の不動産業は,売上高経常利益率で引き続きプラスにはなったが,借入金負担率では引き続き高水準となった。」

【正解:

◆売上高経常利益率はプラス,借入金負担率は高水準

 不動産業は,平成3年度から平成9年度までは7年間連続して赤字でしたが (平成9年度は売上高経常利益率はマイナス),平成10年度以降は急速な回復に転じました。しかし,借入金負担率がほかの業種に比べ高いのは構造的なものであり,変わっていません。

売上高経常利益率の推移

 ― 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
全産業平均  1.9%  1.5%  1.9%  2.5%  2.1%  2.3%  2.7%  3.1%  3.4%  3.5%
不動産業 −0.4%  1.3%  3.4%  5.3%  6.1%  7.1%  5.2%  6.5%  6.8%  10.2%

自己資本率の推移 −借入金負担率の高水準−

不動産業は他の産業に比べて、借入金依存度が高く、借入金負担率が高い。

 ― 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
全産業平均 19.9% 19.2% 22.3% 25.7% 25.2% 27.4% 28.3% 29.8% 30.1%
不動産業 −1.8% −8.4%  5.7% 14.6%  7.2% 14.3% 11.0% 20.7% 17.5%

借入金比率の推移

 ― 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度
全産業平均 40.1% 43.0% 38.7% 35.0% 36.4% 35.4% 33.2% 31.7% 29.1%
不動産業 391.4% 427.9% 282.1% 257.1% 258.5% 223.2% 219.4% 197.8% 192.7%

 ― 18年度
全産業平均 27.6%
不動産業 161.0%

※法人企業統計は財務省で公表しています。(平成18年度)

 自己資本率が低いのは,業務の性格上,素地取得等に多額の資金を要し,かつ,事業期間が長期間に及ぶため借入金依存度が他の産業と比較して高いことに加え,特に近年は地価の下落の長期化など不動産業を取り巻く諸情勢が厳しいことなどの理由によると考えられる。(建設白書2000 p.498)

4.「第八期住宅5箇年計画では,640万戸の住宅建設と新たに430万件の増改築を設定しているが,少子・高齢化社会に対応した住宅ストックの形成についての施策は盛り込まれていない。」

【正解:×

◆第8期住宅建設5箇年計画(平成13年〜平成17年度)

 本肢は数値が正しくても,第八期住宅5箇年計画での重要な施策を間違って述べているので×です。そもそも何のために430万件の増改築を新たに設定したかと言えば,『少子・高齢化社会に対応した』居住環境を整備するためなのです。

 〔教訓〕 数値が正しいからといってウッカリ○にしてはいけません

平成17年度までの第8期住宅建設5箇年計画は,以下のとおりです。

住宅整備戸数の目標

・総建設戸数 640万戸
・バリアフリー等の改修工事件数を含む増改築件数 430万件

施策の概要

・住宅のバリアフリー化の推進など少子・高齢化社会に対応した住宅ストックの形成
・国民の多様なニーズに対応した良質な住宅ストックの形成を支える環境整備の推進

●原題
「第六期住宅建設5箇年計画では,730万戸の住宅建設を見込むとともに,普通所帯数の増加による住宅建設戸数の比率が高まると見込んでいる。」

【正解:×

 第六期住宅建設5箇年計画での住宅整備目標戸数は,730万戸でした。つまり,数値は正しいわけで,後半の「普通所帯数」が×でした。(当時は,建替えの所帯が増えると予測していた。)

 このように,『数字だけ覚えてもらえばいい』というスタンスでは問題は作られていないことを肝に銘じるべき。 


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